無意識での思考の熟成


意思決定には無意識での思考の熟成が必要であると、凄いリポートが先日ニューズウィークに載った。無為療法が最初から主張している「無」、即ち無意識の重要さを改めて科学から指摘している。

私は今、健康世界に生きていて、意思決定に迫られることは余りない。意思決定は自然に出てきて自然に実行している。この流れは素晴らしいもので、神経症を今煩っている諸君には想像が出来ないことに違いない。

私が神経症者の頃は、朝から晩まで考えに考え続け、何も出来なかった。25歳の頃、学友は有名会社に就職して順調にそのキャリアを積んでいるのに、私は3ヶ月置きに会社を辞めて職探しをしていた。毎日、朝日新聞の就職欄を目を赤くしながら読み続け、仕事に応募した。面接する係官も私の様子が普通でないのを直感したらしく、多くの仕事で拒否された。

自分でも何故朝から晩まで職探しの新聞を読み続けているのか分からなかった。実際自分の将来が危ないからか、それとも強迫観念のようなものがそうさせているのか。しかし40年後の今、はっきりとその原因が読み取れる。

健康な人は無意識が有効に働いていて、日常の動作に意識を要求されることは殆どない。何事も流れるように処理して疲れることもない。この無意識で動作をしている時は判断の中枢も活発に動いている。一見重要な決定を忘れているようであるが、実は我々の脳は無意識下で思考を熟成している。だから何かをしている時にはっと思い出して実行する。無意識で熟成した判断は正しい場合が多く、従って仕事の能率が上がり、社会的評価が上がる。

神経症者ではこの無意識下での選択が出来ない。オンラインで情報を集めているような状態で、情報は毎秒、毎分更新されて意識脳はフル回転になっている。ニューズウィークでも指摘しているように、情報が限りなく連続して入ってくると無意識脳は作動を停止して、判断を意識脳にまる投げしてしまう。
即ち、過去の情報の蓄積と新しい情報を統合してより一歩高い位置からの選択を停止してしまうのだ。

ここでこんな神経症者を考えてもらいたい。
「激しい神経症フラッシュバックに襲われて生きた心地がしない。狂いそうだ。人生が破産するような気がする。俺は結局全て失敗だったのだ」と追い込まれた神経症者が、斎藤に疑問に答えてくださいとすがり付いてきたとする。

この人の意識脳は真っ赤赤で、無意識脳は殆ど作動していない。オンラインでジャンジャンEメールを読みまくっている状態に等しい。最近の意識の科学ではこの状態下での選択は貧弱であると言う。
たとえこの人の疑問に答えても無意識下で熟考が出来ないから間違った結論に飛びつき失敗し、更なる無駄な神経症人生が待っている。

お分かりのように、斎藤はこんな人を冷たく突き放し「雑用をしろ」と言う。
無意識脳を引き出して最善の判断を出すには、どうしても雑用が出来る状態にしないとならない。所が森田はこんな時に心理的説明を開始し、生きるべき道を指し示し、意識脳を更に煽る指導をしてしまった。

ニューズウィークでも説くように上質な判断をしたいなら直ぐスマートフォン、携帯電話を切るべきであり、神経症であるなら情報の取得を断固停止しないとならない。



ホームページへ